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個人対応衣服シンポジウム

『あなたは服に満足していますか』〜着たい服が着られるようになるために〜

パネルディスカッション

体に不自由なところがある立場から

上山のり子さん

 イベントでおしゃれな衣服を着ることがあるが、非日常です。日常でも着物やおしゃれな衣服が着られるようにするのはどうしたら良いか。そのアプローチがほしい。

(写真:着物を召されたときのスライドを紹介しながら説明、左:上山さん、右:北川さん)

小林健一さん

 利便性ばかり追い求めた衣服を着ていたが、あるとき車いす用レインコートを作ってもらった。

それから、衣服を改造すれば何でも着られると思うようになった。立って着ても座って着た状態で整える必要がある。

藤原美紀さん

 お店のリフォームは高いイメージがある。試着室が車いす用でない場合、お店で着ることになり、十分に試着できず購入をあきらめたことがある。

海外では、車いす用の試着室があり、ベッドがついていた。座ったままでは背が曲がって着にくいので助かる。洋服業界の人に検討してほしい。

もと既製服業界で介護訪問員の立場から

北川律さん

 既製服と違うと不安に思う人がいる。半身麻痺の女性のため、スカートのファスナーを右開きにしたら、驚かれた。思っていることを要求してほしい。メイクと装いは内面に影響を及ぼす。装いで手助けできたらと思う。

大学で障害者の衣服の研究をしている立場から

千葉桂子さん(福島大学)

 障害のある子どもの衣服について研究・調査した結果を報告された。生徒の衣服について悩みのある養護学校の教員が80%を越えている。

特に「衣服の着脱」に対する悩みは多い。知的障害のある子どもについては衣服の表・裏の理解、TPOに合わせた着装などに関する問題が挙げられた。また肢体不自由の子どもについては,身体特性や姿勢によって着脱動作を行わせることに対する指導上の困難が挙げられた。

子どもたちが経験する初めての社会生活の場が学校である。子ども一人ひとりの自立を支援する衣生活教育が必要である。

渡辺聡子さん(山野美容芸術短期大学美容福祉学科)

 大学の授業の一環で、高齢者施設でのファッションショー(化粧とおしゃれな衣服)の経過と浴衣祭り(施設の120人以上の人に浴衣を着てもらい祭りをした)を行う経過の中で高齢者が活き活きと元気が沸いてくる様子を紹介、徐々に施設との信頼関係が深まると、このようなこともできるようになるので、まずは信頼関係を結べるように関ることを勧めた。

フロアーから

日常におしゃれができるような仕組みができないかと努めている人は存在するが、どこに要望を言ったら、衣服の対応をしてもらえるのかがわからない。都道府県の公的機関では中小企業の指導に関っているのですが、今のところ、なかなか個人ユーザの声を集めるところまでは対応していない。

着脱実演

小林健一さんの上着の着せ替え。スーツを召されていたので、まずスーツを脱がせることから行なった。小林さんは右腕の方が不自由で、緊張すると腕に力が入ってします。普段、着せ慣れていない人にとって、車いすに座ったままでの着脱介助は容易ではなかった。5人の人が着脱に挑戦した。

(写真:なかなか思うようにスーツを脱がすことができなくて苦労している場面)

藤原美紀さんの上着の着せ替え。藤原さんは、背中が曲がっていて、細い腕をされているが、藤原さんの適切な指導で脱がすことができた。藤原さんは24時間介護を受けており、ヘルパーさんに口頭で説明する必要性が高いとのことでした。時間の関係で2人の人が着脱に挑戦した。

(写真:左に持っている上着を脱ぎ終えて、どうして衣服の着脱介助指導の説明がうまいのか、たずねている場面)

休憩

関連報告・質疑応答

島田幾代子さん

島田さんの衣生活の変化がスライドを使って紹介された。

(写真:左側にいるのが、島田さん)

鈴木ひとみさん

突然のご指名にも関らず、鈴木さんのファションの衣服の工夫や車いすで困ることなどを紹介された。

衣服だけでなく、車いすとのコーディネートもされているのが、写真(タイヤも赤い)からもうかがえるかと思います。

(写真:車いすの背中の工夫を紹介している場面)

杉野公子さん(杉野服飾大学)

大学の授業の一環で行なった個人対応に関連するファッションショーの紹介をされた。

当日は30名を越える方々がご参加され、遠くは北海道北見市、大阪、名古屋、福島、横浜から、おしゃれに関心の高い方々が集まりました。衣服に関心を寄せる方々は、皆ボランティアでご協力下さり、貴重なお話や実演をして下さいました。また、岩波君代さん、渡辺聡子さん、大野淑子さんには、企画から当日の運営までご協力をいただきました。参加者は、様々な立場の方々で、衣料関連企業、公設機関・大学の研究者のみでなく、福祉関連の方々や、ホテルマン、衣服ボランティアなどご参加いただき、熱心な方々ばかりで予定を1時間ほど延長になりましたが、時間が足りないくらいでした。また会場の後片付けを、多くの参加者の方々にお手伝いいただきました。ご協力、ご参加下さった皆様に敬意を表するとともに感謝いたします。文責 小野栄一 

(写真:シンポジウム後、記念撮影しました。)

ページ管理者:産業技術総合研究所 人間情報インタラクション研究部門 高橋昭彦

最終更新時間:2009年06月19日 21時32分03秒